「瀬戸内国際芸術祭2022」を宇野で体感。
3年に一度、瀬戸内で行われる「瀬戸内国際芸術祭」は、国内外からたくさんのアーティストが参加し、世界中から注目されるアートの祭典。
2019年開催時には米紙ニューヨークタイムズのオンラインサイトで「今年行くべき場所」のひとつとして紹介され、海外からのお客さんも多くにぎやかでした。普段のんびり静かなエリアに外国人観光客が押し寄せている光景は新鮮です。
待ちに待った春会期!会場のひとつである、岡山県玉野市、宇野港周辺の新作品を見に行ってきました。春会期の新作品は、JR宇野駅から歩いて数分のエリアに集まっていて便利ですよ。
「時間屋」 長谷川仁
最初に訪れたのは「時間屋」という作品。
海の街、玉野で古くから盛んだった塩田開発。天井から音もなくさらさらと落ちてくるのは「玉野の塩」です。
まるで砂時計のように降ってくる塩に見入っているうちに、時間の流れを忘れてしまいます。以前に体験した、豊島の「豊島美術館」を思い出す空間でした。
落ちてくる塩を、備え付けのカップに10秒間うけとって、小瓶に入れて持ち帰ることもできます。(300円)
ここでの時間を、記念に持ち帰るのもすてきですね。
「赤い家は通信を求む」 片岡純也+岩竹理恵
細い路地を入った先の、昔ながらのちいさなお家を使っての展示。
まず、2階の窓にある「人工芝」に目を奪われることでしょう。
人工芝の大きなローラーがぐるぐるとせわしなく回っています。密着したローラーたちは、互いの動きに連動して、少ない電力で回るのだとか。
1階にある地球儀たちも同じようにいっせいに回っています。まるで生き物。
そしてこの「運動」が生み出す「音」がお家の中に響き渡って、なんとも不思議な空間です。誰も住む人のいなくなったお家が、こうして存在をアピールしているようで、何だか、ユーモラスで面白い。
バケツの中でくるくると動く、どことなくかわいい様子に、じっと見入ってしまいます。
他にも、どこかなつかしさを感じる、ほっこりするような展示が楽しめますのでじっくり堪能してください。
「実話に基づく」 ムニール・ファトゥミ
現役ではないけれど、ずいぶん立派な病院が舞台です。100年以上前の建築とは思えない保存状態。
ふと「長島愛生園」を取材したときのことを思い出します。まったく違う状況なのですが。
大きな古い建物ってそれだけで迫力ありますよね。美しいです。
中の部屋では、パリで撮られた建築現場の解体の様子が動画で映し出されています。
今は廃墟のようになったこの建物の中で、じっとその映像を見ていると急に「年月」の重みを感じます。こちらの病院にもかつて多くの人が訪れたのだなあ…
中の様子はとてもリアルで、診察室らしき部屋、薬を保管する場所。まるで「先週まで診察してました」という感じです。
2階は広い廊下と個室?がいくつか。考えてみたら、本来は中に入ることも難しい建物を「アート」鑑賞のおかげで見学できるんですね、感謝。
前回の「瀬戸内国際芸術祭2019」は全会期とも取材しました。
その時感じたことがよみがえります。
こうして、普段の風景の中にアートが点在するって最高だな、と。
むろん、美術館などにおもむいて、作品と対峙するのも楽しいですが、瀬戸内国際芸術祭の好きなところは、その地の自然や街の風景の中にアートがただ共存しているところ。現地を歩き、風や日光、音や香りを感じつつ、という最高の楽しみ方ができます。
JR宇野駅の案内所にはスタッフさんがおられて、親切に対応してくれて安心ですよ。
コロナ禍での鑑賞マナーは大切です。検温や、マスク着用など必要に応じて行いましょう。開催されることじたいが、ありがたいと思う時代になりました。
作者や作品、イベントなどくわしいことはこちらで確認できますので、ぜひご参考に。
シェアショップでランチ♪
宇野港周辺には「おいしいお店」ももちろんありますよ。最近あたらしく出来た「UNO HOTEL」の中にもレストランがありますが、今回は「シェアショップUZ」さんへ初訪問。
こちら、週単位で出店するお店が変わり、モーニング、カフェ、ランチ、夜カフェと、曜日と時間によって店主が変わる面白いシステム。SNSでスケジュールをチェックできます。
この日は「パワーサラダ」ランチがいただける「evergreen」さんを目当てにGO!
「エスニックパワーサラダ」を注文。みずみずしくておいしそう~!
やわらかしっとりの豚肩ロース、紫玉ねぎ、セロリ、甘夏など盛りだくさんな食材が、甘みと酸味が絶妙にあとをひくドレッシングでひとつにまとまって、なんとも滋味深く、かつヘルシー。だしのきいた「ごぼうとベーコン」の味噌汁をおともに、あっという間に完食…と言いたいところですが、意外とボリュームがあって、ゆっくりと楽しめました。
お店の公式アカウントはこちら。
宇野港周辺には、今回紹介した作品だけでなく、過去の作品も屋外に展示されています。代表的なところでは淀川テクニックさんの「宇野のチヌ」など。
案内所でもらえるマップに場所や作品が載っているので、ぜひ見に行ってみてくださいね。
夏会期は8/5(金)からスタートです。暑さ対策は万全に!
photo by ikuko
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